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インタビュー

ファン・ボイテン:「最低の世界にいた」

今回のプレシーズンキャンプでは、練習の都度必ず「ビッグ・ダン」と書かれた大弾幕を目にする。1.97メートルの長身ディフェンダー、ダニエル・ファン・ボイテンのことだ。本サイトfcbayern.deでは、今年でFCバイエルン8年目となるベルギー代表のファン・ボイテンに取材した。来月36歳の誕生日を迎えるファン・ボイテンは、ファンへの感謝の気持ち、ペップ・グアルディオラの下でのプレー、そして将来のビジョンについて語り、思い出すだけで鳥肌が立つと移籍当初を振り返ってくれた。

インタビュー:Daniel van Buyten(ダニエル・ファン・ボイテン)

fcbayern.de:「ダニエル、冬のプレシーズンキャンプは何回目になる?」
Van Buyten:「そうだな、プロになって15年目ぐらいだから、15回目ということになるのかな」

fcbayern.de:「プロになりたての当時のキャンプと比べると、何か変わった点はある?」
Van Buyten:「若いうちは、とにもかくにも全力を出しきるもの。そうするうちに、あちこちにトラブルが生じてくる。年をとるにつれて、自分の体が発する信号を理解できるようになり、負荷を上手にかけていく習慣がつく。最近では、プレシーズンキャンプがどのようなものか、どれだけキツいかを理解しているから、体を休ませなくてはならないタイミングもわかる。若い選手は、そこが苦手だ」

fcbayern.de:「来月36歳になるけど、なぜいまだにキツいプレシーズンキャンプに耐えられるの?」
Van Buyten:「この職業を愛しているからだ。愛があれば、キツいとは感じない。私は好きだね。家にいて、何もせずにただ座っているなんて、性に合わない、私には無理だ。体を動かしていないと気が済まないタイプなのだ。それに、20歳、21歳といった若いやつらに引けを取らずにやれるかどうか。そういう競争も大好きだ。体が動く以上、止める必要もないだろう。私は人生をかけている、食生活をはじめ、全てに気をつかっている。もうじき36になるだけに、夜な夜な遊び回ることもできないしね」

fcbayern.de:「ここカタールでは、君だけのファンクラブが毎日応援してくれているみたいだけど、さらに練習に熱が入るのでは?」
Van Buyten:「嬉しいし、励まされる。彼らが誰なのかは知らないが、ここ数年間来てくれている。大弾幕は初めてだけどね」

fcbayern.de:「1997年にフランスのシャルルロワSCでプロデビューしてから、フランス、イングランド、ドイツでプレーしタイトルというタイトルを勝ち尽くした。そんな君でもペップ・グアルディオラの下で学ぶことはあるの?」
Van Buyten:「学ぶことは終わらない。監督にはそれぞれ独自の哲学やスタイルがある。内の若手はツイている。グアルディオラやハインケスといった世界屈指の名将の下でサッカーができるのだからね。当時の私よりも早く成長することができるだろう」

fcbayern.de:「グアルディオラになって具体的に変わった点は?」
Van Buyten:「大きなプレッシャーがかかったときにも、もっとボールを要求しろと励まされている。練習では、3メートルか4メートル四方の小さなフィールドで3対1とか3対2をやるのだが、実戦では20メートル四方はある。だから実際には試合の方が簡単だ。監督はいつも『3、4メートルでできるのだから、20メートルでもできる、それを忘れるな。怖がらずに勇気を出せ』と言ってくれる」

fcbayern.de:「35歳という年齢で、昨年の快挙を成し遂げたことが、いかに偉業であるのか、どれくらい自覚できている?」
Van Buyten:「私の年でこれだけやれることは、とても誇りに思う。31歳や32歳で引退を余儀なくされる選手がいるなか、私は35歳でアーセナル戦、ユヴェントス戦、バルセロナ戦に出場した。正にセンセーショナルだね! ベルギー人では初めての5冠を達成した。小さな村出身(ワロン地域のFroidchapelle)の田舎っぺがだ… 始まりは一番下のリーグの最下位のチームだった。それ以上の下はないという。 私はまさに最低の世界にいた。だが今は世界一のチームでプレーしている! こんな誇らしいことはない。考えるだけで鳥肌がたつ。(ファン・ボイテンは腕を出して見せた)」

fcbayern.de:「そしてこの夏には君のキャリアにまた一つハイライトが加わることになる。ワールドカップ。君が初めて出場した大きな大会は、2002年の日韓ワールドカップだったね」
Van Buyten:「ああ、あれから12年。ベルギー代表として再びワールドカップに挑むことになる。最高だ! 我々は若手とベテランのバランスがとれた良いチームだ。トップクラブで活躍する若手も増えてきているため、チームのレベルがグンと上がった。グループを首位通過し、第一シードに入れたのもそのためだ。FIFAランキングではいつの間にか6位にまでのし上がっていた。ブラジルでは全力でプレーし、まずはグループステージを突破したい(ベルギーは、ロシア、韓国、アルジェリアと同組)。決勝トーナメントの一回戦では、ドイツと当たることになるかもしれない」

fcbayern.de:「ワールドカップのあとは?」
Van Buyten:「ワールドカップ後には代表を引退するかもしれない。私の年になると、国際Aマッチデーを回復に当てた方が懸命かもしれない。だがまだ決めた訳ではない。まずはFCバイエルンでタイトルを獲得することに照準を合わせている」

fcbayern.de:「引退後にやりたいことはある?」
Van Buyten:「もちろんサッカーには関わり続けたい。コーチングライセンスを取得するかもしれない。代理人の道に進む可能性もある。若い選手が、いいように利用されているのを何度も見てきたからね。私は良い代理人と出会うことができて本当に幸せだ。だから、代理人も悪くない、若い選手のためにも、と思うこともある。だがスカウトになることも考えられる。選手を見る目はあると思っているし、ベルギーの今の世代は才能豊かな若手で溢れている。要するに、いろいろと楽しめそうだというわけだ」