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回顧録第三章

FCBアメリカツアー:カーン & ビーチボーイズ

「Go west」― FCバイエルンにとっては、7月30日から始まる9日間のアメリカツアーの幕開けを意味する言葉だ。目的地はニューヨーク、ポートランド、そしてオレゴン。ペップ・グアルディオラとチームは、今回もまたアメリカツアーの歴史に新たな1ページを刻もうとしている。これまでFCBは、東海岸からカリフォルニア、五大湖からフロリダと、全米各地でプレーしてきた。今回fcbayern.deでは54年間にも及ぶそんなアメリカツアーの歴史を一から振り返ることにする。

第三章:シカゴ、マイアミ、ニューヨーク

2004年:マーケティング、トレーニング、マンチェスターU

2004年7月に実施された4日間のシカゴツアーは、新シーズンに向けた準備とマーケティングが主な目的だった。7月22日、この人口270万人の地へ飛び立ったバイエルンであったが、風邪をひいて家に残らなければならなかった代表取締役のカール=ハインツ・ルンメニゲや、怪我をしていたバスティアン・シュヴァインシュタイガー、ウィリー・サニョル、クラウディオ・ピサーロ、ルシオは同行を断念。ウリ・へーネスはこのツアーについて、「この旅は我々のグローバル戦略の一環である」と当時説明していた。

シカゴに着いてから、バイエルンの選手たちは記者会見でその姿をお披露目。そこで熱狂的なファンのためのサイン会を開いたり、ウリ・へーネスが、当時監督だったフェリックス・マガトの通訳をこなした。「驚いている。アメリカの男子サッカーがここまで成長しているとは思わなかった」と感想を述べたのはオリヴァー・カーン。そのときは、普通の公開練習にも関わらず6,000人もの観客が詰め寄せていた。

ブンデスリーガ開幕から2週間前、ちょうど欧州選手権に参加していた選手が休暇を終えてチームに戻ってきた頃、フェリックス・マガト監督は、プレシーズン中のトレーニングとツアーを締めくくるマンチェスターUとのテストマッチを、当然のことがながら非常に重要視していた。同テストマッチにBチームで挑んだマンチェスター。一方バイエルンも、トレーニングによる疲労困憊の中臨んだ一戦だったが、それでも見事に勝利を手にしている。どんな状況だったにしろ、欧州のビッグクラブ同士の対戦だ。注目度も自然と高まる。会場となったソルジャー・フィールドスタジアムには65,000人の観客が集まり、このテストマッチは全米で生中継された。しかし、試合は90分間では決着がつかずPK戦に突入。そこで休暇明けでチームに合流したばかりのGKカーンが最高のパフォーマンスを引き出した。同選手がアラン・スミス、ジョン・オシェイのシュートを防いで一方、FCBサイドはトルステン・フリンクス、メーメット・ショル、ミヒャエル・バラック、ロケ・サンタ・クルスがしっかりとネットを揺らして4-2で勝利を収めた!

この結果とツアーでの収穫に大満足のFCB。へーネスも「我々の、アメリカでのイメージアップと認知度アップという目標はしっかりと達成できた」というコメントを残した。

2006年:ビーチボーイズ&グッバイ、リザ

それから約2年後の10日間にわたるアメリカツアーは、FCバイエルンにとって全く違う状況下での開催となった。2年連続で「ダブル(リーグ戦とDFBポカールの両方制覇)」を成し遂げたバイエルンがこのツアーで達成したかったことは、マイアミの訪問が19回目となるフェリックス・マガト監督が述べたように、「とにかくビーチと太陽を楽しむ」ということであった。ロイ・マカーイも「単純にみんなで楽しみたい」と話している。

具体的にどのように楽しんだかというと、理学療法士と用具係を含めた18人のバイエルンのメンバーが、ジェットスキーで海を走り抜けたり、エアーボートツアーでフロリダ州南部の湿地エバーグレーズに入り、ワニやカメ、ヘビとご対面するなどエキサイティングなプログラムを敢行。また、ビーチサッカーでオーバーヘッドキックやヒールトリック、ダイビングヘッドなどを披露して、ツアーを心底満喫した。

ハサン・サリハミジッチ、イェンス・イェレミース、メーメット・ショルを中心としたメンバーはしかし、5日後にはマイアミを発つために荷物をまとめなければなかった。同チームの次なる目的地はニューヨーク。そこではグラウンド・ゼロやエンパイア・ステート・ビルディング、セントラル・パークという観光名所を訪問するだけでなく、ニューヨーク・ヤンキースの試合観戦も行った。マンハッタンへ、4人のアマチュア選手と共に遅れて合流したウリ・へーネスは、さらにオペラ座の怪人のチケットまでも調達している。

観光の他にもニューヨークではいくつかのPR活動やインタビューが実施され、監督のフェリックス・マガトはユースの子供たちにサッカーを授業するなど、あらゆるプログラムをこなすバイエルン一同。だが、5月27日のレッドブル・ニューヨークとの親善試合を無視するわけにもいかない。同指揮官は、当然のことながらそのテストマッチに向けたトレーニングも行っている。ちなみに、この試合でビセンテ・リザラズがプロサッカー選手としてのキャリア最終日を迎えた。

5,173人の観客が集まったジャイアンツ・スタジアムでの試合で、キャプテンマークを腕に巻いたのはフランス出身のビセンテ・リザラズ。試合展開としては、まずはクラウディオ・ピサーロが2ゴールを挙げリードするバイエルンだったが、後半に入るといきなり失速。最終的には4-2で逆転負けを喫してしまった。しかし、その翌日には再びいい雰囲気を取り戻したバイエルンは自国への岐路につき、2006年のアメリカツアーは幕を閉じた。