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コヴァチ兄弟のインタビュー

「ペップは原子並みに細かいところまで分析する」

トレーニングを見守る熱狂的なファンと好奇心旺盛な観衆の中には、バイエルンにとって懐かしい顔が2つ混ざっていた。しかもその懐かしい顔は、明らかに周囲とは異なる温度でグアルディオラの指導する姿をしっかりと見つめていた。それもそのはず。彼らは仕事で来ているのだから。その懐かしい顔の正体は、クロアチア代表の監督ニコ・コヴァチとその弟(同代表のアシスタントコーチ)ロベルトだった。

fcbayern.de の独占インタビューに応じた2人が、クロアチア代表での仕事の様子、どの監督からやり方を学んだのか、ペップ・グアルディオラの印象、そして子供の頃の夢について語ってくれた。

ニコ&ロベルト・コヴァチのインタビュー:

fcbayern.deニコ、ロベルト、今ドーハではFCバイエルンがシーズン後季に向けて準備をしている最中だ。君たち2人も同じ場所にいるわけだけど、なぜカタールに来たの?
ニコ・コヴァチ:僕たちは代表チームの監督だから、本来欲しているよりも多くの自由時間があるんだ。この時間を自分たちの成長や、他の世界最高峰の監督たちが何をしているのかを見る時間に使っている。どういった共通点や違いがあるのかを知りたいんだ。僕たちはさらに成長したいと思っている。
ロベルト・コヴァチ:全てのトレーニングを観察し、分析している。その他は自分たちのチームの試合を見て、3月に行われるノルウェーとのユーロ予選の準備をしている。

fcbayern.de代表監督という仕事は比較的気楽という皮肉を言う人もいますが…。
ニコ・コヴァチ:
そんなことはないよ。僕たちは家でただただテレビのチャンネルを回しているわけではなくて、常に自分たちの選手を見ているんだ。少ないスタッフ陣の中で細かい調整をしながら働いている。クロアチアは小さい国だが、期待値はドイツと同じくらい大きい。信じられないほどにね!

fcbayern.de以前はFCバイエルンの選手としてこのトレーニングキャンプに参加していたね。見るだけの方がやっぱりいい?
ロベルト・コヴァチ:もう走り回らなくていいのはやっぱり嬉しいね。準備期間というのはいつも大変だったから。もちろん選手たちがプレーしているのを見て、むずむずしてくる時もあるけど。バイエルンを見ていると、きつい練習でも選手たちが楽しんでいる様子がすぐに伝わる。はっきりと自分の現役時代を思い出すよ。でも、あの頃みたいに体が動かないというのは認めるけど。

fcbayern.deプロスポーツ選手にとってトレーニングキャンプというのは、必ずしも好まれているものではないのでは?
ニコ・コヴァチ:選手にとってこの準備期間は快適なものではない。でも、基本的にウィンターブレイクは良いものだよ。この間に少し休養できる。イングランドやスペイン、休みが一週間しかないイタリアみたいに、休みなくプレーし続けなければいけないのは大変だ。

fcbayern.de以前は選手、今は監督。何が一番違う?
ロベルト・コヴァチ: 選手は特に最高のコンディションを保つことに集中しなければならないが、監督はすべてを把握しなければならない。選手、メディア、理学療法士、周囲の事すべてだ。全部を調和させる必要がある。そして24時間労働だ。さらにクラブが小さければ小さいほど難易度が上がる。大きなクラブでは多くの仕事が除かれる。
ニコ・コヴァチ:選手のときも当然チームのことは把握しているが、監督になると本当にすべてを知らなければならない。仕事の幅が遥かに広くなる。

fcbayern.deニコ、君は2年間ミュンヘンにいたよね。ロベルトはその2倍だ。FCバイエルにいた頃の時代を振り返ると、まず最初に何が思い浮かぶ?
ニコ・コヴァチ:成功の数々だね。バイエルン・ミュンヘンは常に成果を出していた。当時は最高の時期だったよ。だが、今は全てがさらに拡大している。特にチームのために働く従業員の数だ。僕たちがいた頃はまだ全てが小規模だった。
ロベルト・コヴァチ:僕にはまず自分たちが獲得したタイトルが思い浮かぶよ。あとはあの4年間で得たたくさんの友人。今でも当時の従業員や選手たちと良い関係にある。僕はバイエルン・オールスターズでも活動しているし、昔の同僚と連絡をやり取りしている。それが楽しいんだよ。FCバイエルンは今でもファミリーだね。
ニコ・コヴァチ:確かに!僕たちはよくミュンヘンに来るとゼーベナー通りとスタジアムに行くんだ。過去FCバイエルンでプレーしたことがある人は常に歓迎してくれる。それがこのクラブの好感度を上げているね。

fcbayern.deロベルト、確か一緒にFCBに移籍したことで子供の頃の夢を叶えたって話してたよね?
ロベルト・コヴァチ:そうだね。僕たちは小さい時からバイエルンファンだった。ニコは当時カール=ハインツ・ルンメニゲがつけていた背番号11のユニフォームを持っていたよ。そして、その数年後にこのクラブでプレーできるようになったのは夢だったね。その幸運が4年も続いた。素晴らしい時間だったよ。

fcbayern.de今ではクロアチア代表の監督とアシスタントコーチを務める2人だけど、兄弟と言えど常に意見が一致するわけではないよね。スターティングメンバーを決める時にケンカしたことはある?
ニコ・コヴァチ:子供の頃はケンカするのが普通だけど、今はピッチ上ではお互いが本当によく理解しあっている。お互いがお互いを補足して、お互いをサポートしあう。スターティングメンバーを決める時は、ほとんど意見が分かれたことがないんだ。もしかしたら血の繋がりのおかげかもね(笑)。
ロベルト・コヴァチ:あとはひょっとすると、僕たちの持つ哲学によるものかもしれない。サッカーに関しては同じことを考えている。

fcbayern.de2人ともドイツ生まれのドイツ育ちだよね。クロアチア人に受け入れられるまで苦労した?
ロベルト・コヴァチ:ドイツ人の考え方、ドイツ人の仕事へ姿勢があると難しいね。クロアチアでは時間の進み方が違う。あまり計画を立てずに、アドリブを利かすんだ。最初は当然苦労もしたいけど、そのコンセプトでやろうと努力している。
ニコ・コヴァチ:僕たちはドイツ人のメンタリティーもクロアチア人のメンタリティーも持っている。前者の方が大きいけど。それがたまに邪魔することがある。でも、自分たちの国のサッカーが本来の立場を取り戻すことを目指している。つまり世界のトップ10入りだ。

fcbayern.de2人が熱狂的なサッカー大国の期待を背負っているわけだけど、元バイエルンの選手としてこのプレッシャーには耐えられるもの?
ニコ・コヴァチ:プレッシャーは大きい。でも、それに耐えられない人はこの仕事をしてはいけないと思っている。簡単でないことはわかっていた。期待も高い。首相や議員の次に来るのが代表監督だからね。その重圧は払い落とす必要がある。自分らしくいなければならない。さもないと、何も信じられなくなる。それは僕の監督だった人からも言われた。

fcbayern.de君たちの監督だった人から学び取ったことはある?
ロベルト・コヴァチ:もちろん。誰だって良いところは盗むもの。バイエルンの時のオットマー・ヒッツフェルト監督やレヴァークーゼン時代のクリストフ・ダウム監督、ニュルンベルクに1年いた時のヘアマン・ゲルランド監督からね。ユヴェントスの頃のファビオ・カペッロ監督からも学んだよ。誰からでも使えるところは盗むんだ。

fcbayern.de例えば?
ロベルト・コヴァチ:W杯プレーオフのアイスランド戦の前にオットマー・ヒッツフェルト監督がいくつかアドバイスをくれたんだ。彼の指揮したスイス代表がアイスランドと戦っていたからね。そのアドバイスを上手く活用したよ。
ニコ・コヴァチ:ロベルトの言っていることは少し間違っているな。コーチ陣のスタッフからも盗めるものは盗むんだ。積極的に人生を送っているが、全てを完璧にすることはできない。僕たちは人間だからね。

fcbayern.de自分たちの監督のタイプとして、オットマー・ヒッツフェルトとフェリックス・マガトのどちらに似ている?
ロベルト・コヴァチ:フェリックス・マガト監督には絶対に似てないよ(笑)! まあ冗談はさておき、僕たちは、まだ現役で代表にいる選手たちの多くとプレーしていた時期が重なっている。だから、少なくとも選手との関係は少し違うかな。でも、選手たちに近づきすぎてはいけない。ある程度の距離が必要だ。
ニコ・コヴァチ:2人の中間かな。絶対的な権威主義的リーダーシップは、今の時代何も生み出さない。選手と監督の関係は変わったんだ。人間関係が成功に繋がる鍵だね。

fcbayern.deペップ・グアルディオラの印象は?
ニコ・コヴァチ:彼は本当に細部までこだわっているし、精密な仕事をしている。試合の全体を細かく分析している。彼と他の監督の違いは、原子並みに細かいところまで分析すること。彼に偶然なんてものは存在しない。そして、勝利が彼に道理を与えるんだ! 僕たちもそうやって取り組もうと試みている。僕たちがすでにやっていることもいくつかあるが、その他のことはまだスタート地点だ。

fcbayern.de2人の生みの親はブンデスリーガ、と言っても過言ではない。いつかドイツのクラブチームの監督として再会する日が来ることも考えられる?
ロベルト・コヴァチ:いつかは僕たちもクラブ監督として働きたいと思っている。それがドイツだったら最高だよ。なぜならリーグのことを詳しく把握しているからね。欧州ではスペインの次にくるトップリーガだと思う。でも今の僕たちに大事なことは、クロアチア代表でフランスのユーロ2016に出場すること。今のところは順調だね。
ニコ・コヴァチ:そうだね。僕たちは今、ユーロにだけ集中している。そして、もっと勉強したい。すでに基礎的な知識はあるが、勉強に限界はないからね。